最強リーグ!?世界を熱狂させるスペインリーグ
最強リーグ!?世界を熱狂させるスペインリーグ
スポンサー契約の関係で、2008年よりリーガBBVAとも呼ばれています。
スペインは闘牛やフラメンコなどの文化、ピカソ、ダリ、サグラダファミリアなどに代表される芸術、そして情熱の国としてよく知られていますよね。
それらに加え、古くからサッカーが非常に盛んなことでも知られており、スペインのサッカーは国内外から高く評価されています。
そんなスペインのサッカープロリーグの正式名称は「リーガ・エスパニョーラ(Liga Española)」と言い、プリメーラ・ディビシオン(一部リーグ)とセグンダ・ディビシオン(二部リーグ)で構成されています。
世界4大リーグの1つとして数えられるだけでなく、サッカーファンからは世界最強のリーグとも言われるスペインのプロリーグについて解説していきたいと思います。
■スペインリーグの歴史
1920年代-創成期
スペインリーグの歴史はとても古く、1927年にアレナス・クルブ・デ・ゲチョのアチャ監督が全国選手権の創設を提案した時にまで遡ります。
そして2年後の1929年にスペインサッカー連盟(RFEF)がプリメーラ・ディビシオン(1部リーグ)を創設しました。
当時の参加クラブは、FCバルセロナ、レアル・マドリード、アスレティック・ビルバオ、レアル・ソシエダ、アレナス・クルブ、レアル・ウニオン、アトレティコ・マドリード、RCDエスパニョール、CEエウロパ、ラシン・サンタンデールの10チームでした。
1930年代-ビルバオ全盛期
1930年代、もっとも隆盛を誇ったチームはアスレティック・ビルバオでした。
1929-30シーズン、1930-31シーズン、1933-34シーズン、1935-36シーズンと、数年の間に4度の優勝を成し遂げるなど、圧倒的な強さを誇りました。
また、1937年には地中海地方のチームを集めたリーガ・メディテラネアが行われ、FCバルセロナが優勝しました。
1940年代-群雄割拠
バレンシア、セビージャFC、アトレティコ・マドリード、FCバルセロナなどのクラブが力をつけ、群雄割拠の時代に。
当時は、どのクラブが上位の成績を収めるのか分からない程でした。
1950年代-2強誕生
FCバルセロナとレアル・マドリード、後に2強と言われる2つのクラブが勢力を増し始めました。
この2クラブは、外国人選手の登録に厳しい制限が課せられる中、各国スター選手にスペイン国籍を取得させることで強力なメンバーを揃え、国内外で圧倒的な成績を残すようになりました。
1960年代-マドリード時代
レアル・マドリードの勢力が頭一つ抜け出すようになり、1966-67シーズン、1968-69シーズン、1977-78シーズンに3連覇を果たしました。
アトレティコ・マドリードも1965-66シーズン、1969-70シーズン、に優勝しており、1960年代はマドリード勢の強さが目立つ時代でした。
1970年代-リーグ改変
1976年まではプリメーラ(1部)、セグンダ(2部)、テルセーラ(3部)、ディビシオネス・レヒオナレス(4部以下、地域リーグ)という構成でした。
しかし、1977年に3部と4部が改編されて2部と3部の間にセグンダ・ディビシオンB(2部B)が設けられて、1977-78シーズン以降はプリメーラ(1部)、セグンダ(2部)、セグンダB(新3部)、テルセーラ(新4部)、レヒオナレス(新5部以下、地域リーグ)という構成になっています。
1980年代-バスク地方時代
FCバルセロナやレアル・マドリードといった2強以外にもレアル・ソシエダやアスレティック・ビルバオといったバスク地方(スペイン北部)のクラブが優勝を飾るようになり、第二の群雄割拠とも言える時代でした。
1990年代-クライフ時代
1988年、ヨハン・クライフがFCバルセロナの監督に就任すると、クライフが現役時代に体現したトータル・フットボールの概念をクラブに浸透させ、チームの成績を大きく引き上げます。
1990-91シーズンのリーグ優勝を皮切りに、1993-94シーズンまで4連覇を達成。クライフの在任中、国内外で10個のタイトルを獲得するなど圧倒的な強さを誇り、当時のメンバーを称してエル・ドリーム・チームと呼ばれています。
2000年代-2強爆発
2000年代中頃までレアル・マドリードが銀河系軍団と言われるメンバー(ルイス・フィーゴ、ジダン、ロナウド、ベッカムなど)を揃え、UEFAチャンピオンズリーグ優勝など国内外で圧倒的な成績を収める一方、2000年代後半にFCバルセロナはジョゼップ・グアルディオラを監督に迎え、下部組織出身のメッシ、シャビ、イニエスタなどの活躍もあり、クライフの時代をも超える第二の黄金時代とも言える成績を残しました。
2010年代-3強時代
2011-12シーズンにレアル・マドリードがリーグ歴代最多の勝ち点100を記録し、32回目の優勝を飾りましたが、翌年の2012-13シーズンにはFCバルセロナが同じくリーグ歴代最多タイの勝ち点100を記録して優勝しました。
このような成績から2強の勢力は揺るぎないものと思われていましたが、2013-2014シーズンにはアトレティコ・マドリードが、レアル・マドリード、FCバルセロナと熾烈な優勝争いを繰り広げながらリーグ優勝を成し遂げました。
アトレティコ・マドリードは近年、UEFAチャンピオンズリーグなどの国際大会でも好成績を残していることから、レアル・マドリード、FCバルセロナにアトレティコ・マドリードを加えた3強時代の到来と呼ぶ人もいるようです。
■スペインリーグの特徴
サッカーは世界中で親しまれているスポーツですから、国を代表するリーグの戦術には国民性が反映されることが多いようです。
明確で厳格なポジショニングで強固な防御力を誇るイタリアの「カテナチオ」のように守備を重視するチームが多い国や、ボールを奪うとロングボールを前線に送り長身で身体の強いストライカーに攻撃をゆだねるイングランドの「キックアンドラッシュ」のようにロングボールやカウンターが得意、などのような明確な特徴があるわけではありませんが、全般的な特徴としては、フィジカルよりもテクニックを重視し、守備よりも攻撃を重んじる傾向があると言われています。
華麗なテクニックによる攻撃的サッカーがぶつかり合うため、どのクラブの試合も非常に見応えのあるものになることが多く、これもスペインリーグが世界中で人気の理由の一つでしょう。
■スペインリーグに所属した日本人選手
スペインリーグのチームに在籍したことがある、あるいは現在所属している日本人サッカー選手を紹介していきましょう。
城 彰二(レアル・バリャドリード/1999-2000年)
西澤 明訓(RCDエスパニョール/2000-2001年)
大久保 嘉人(RCDマヨルカ/2005-2006年)
中村 俊輔(RCDエスパニョール/2009-2010年)
家長 昭博(RCDマヨルカ/2011-2012年)
指宿 洋史(セビージャFC/2012-2013年)
ハーフナー・マイク(コルドバCF/2014-2015年)
乾 貴士(SDエイバル/2015年~)
■不景気や財政危機も何のその
スペインという国自体は、史上最高の失業率を記録するなど大変な不景気に見舞われており、さらには不動産バブル崩壊による財政危機や、建設・観光に頼る不安定な産業構造による脆弱な経済など、現在多くの問題を抱えています。
そんな中でも、スペインのクラブがスター選手を獲得するために何十億円という大金を用意しているというニュースはしばしば飛び込んできますし、移籍金だけでなくスター選手に支払う年俸はとてつもない額ですから、景気の良い話だと思ってしまいますよね。
2016年現在、メッシ(FCバルセロナ)、ネイマール(FCバルセロナ)、スアレス(FCバルセロナ)、クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)、ルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)、トニ・クロース(レアル・マドリード)、グリーズマン(A・マドリード)など、世界を賑わせるスター選手の力と、洗練された育成組織による高い技術と戦術理解力を持つ国内の生え抜き選手の力が融合し、魅力的なサッカーが展開されているこのスペインリーグは国内外を問わず世界中で高い人気を誇り、TV放映権などをはじめ非常に大きな金銭をスペインにもたらしています。
この人気のおかげで、国内が記録的な不景気でも、世界最高とも言われる強くて魅力的なリーグを維持できているのです。
スペイン国民のサッカーに対する熱狂ぶりは凄まじく、「情熱の国」という異名を体現するようです。
サッカーから元気をもらい、サッカーによる経済効果にあやかって、この記録的な不景気を乗り越えてほしいと願わずにいられません。