ポジションで決まる!サッカーの試合戦術考察
サッカーのポジション─選手の位置取りと役割
サッカーは、11人対11人の選手が、ピッチと呼ばれるグラウンドを縦横無尽に使い、ボールを相手のゴールに蹴りこみ、あるいはヘディングで放り込んで、得点を競い合うゲームです。
11人の選手にはそれぞれの役割があり、その役割分担がうまく機能した時にはじめて効果的な攻撃や守備が生まれます。つまり、ゲームを支配することができます。
サッカーは11人の選手で行うスポーツなので、選手のことを「イレブン」と呼ぶこともあります。では、この「イレブン」それぞれの基本的な位置取り(ポジショニング)について、詳しく解説していきましょう。
ポジションとはサッカー選手の位置取り(ポジショニング)
フォーメーションを表現する時によく使われる「3-4-1-2」や「4-2-3-1」は、これらのポジションを後ろから、DF-MF-FWの順にそのポジションにいる人数を数えたものです。例えば「3-4-1-2」はDFが3人、MFが4人、FWが3人という意味で、「4-2-3-1」は、DF-後方のMF-前方のMF-FWと、MFを2つに分けて表しています。この場合、MFは守備的な役割と攻撃的な役割で2つに分けられています。
このようにポジションとフォーメーションにはたくさんのバリエーションがありますが、基本的には後ろから見てGKとDF-MF-FWの4つがおおまかなポジションです。これをもっと詳しく見ていきましょう。
●ゴールを死守せよ!ゴールキーパー
相手の得点源になるゴールを守るのは、ゴールキーパー(GK)です。このポジションだけは自陣ゴール付近の決められたエリア内のみ手を使うことが許されており、全身を使ってボールを止めるのが役目です。
●敵の攻撃を止めろ!ディフェンダー
ゴールキーパーの前で相手の攻撃を阻むために働くのが、ディフェンダー(DF)です。DFをさらに細かく分類するとCB:センターバック・SB:サイドバック・SW:スウィーパーとなり、それぞれ役割が微妙に異なります。
●攻守に動き回れ!ミッドフィールダー
ディフェンダーの前に布陣するのは、ミッドフィールダー(MF)(DMF:ディフェンシブミッドフィルダー・WB:ウイングバック・CMF:セントラルミッドフィルダー・SMF:サイドミッドフィルダー・OMF:オフェンシブミッドフィルダーなど)が位置取りをして、相手の攻撃を止めたり、味方の前列にボールを送るというきわめて重要な役割を担います。
●何が何でも得点だ!フォワード
最前列、つまり相手ゴールに一番近いところのポジションは、フォワード(FW)(WG:ウイング・ST:セカンドトップ・CF:センターフォワード)で、とにかく何が何でもボールを相手ゴールに入れるのが役目で、決定力のある選手が起用されるポジションです。
このように、サッカーのポジションが大きく4つに分類できることをまずは押さえておいてください。
ポジションとフォーメーションとの関連性
フォーメーションを表現する時によく使われる「3-4-1-2」や「4-2-3-1」は、これらのポジションを後ろから、DF-MF-FWの順にそのポジションにいる人数を数えたものです。例えば「3-4-1-2」はDFが3人、MFが4人、FWが3人という意味で、「4-2-3-1」は、DF-後方のMF-前方のMF-FWと、MFを2つに分けて表しています。この場合、MFは守備的と攻撃的なので2つに分けられています。
このようにポジションとフォーメーションにはたくさんのバリエーションがありますが、基本的には後ろから見てGKとDF-MF-FWの4つがおおまかなポジションです。これをもっと詳しく掘り下げていきます。
●敵陣近くで攻撃を担うポジション
今度は前列から、FWが2人は「ツートップ」、1人は「ワントップ」で、攻撃に参加するMFは「トップ下」と呼ばれます。このポジションは流動的に攻撃の起点になる役割を担っていて、しばしば「10番」と言われたりもします。
10番という名前がつくほど注目されるポジションであることには、ちょっとした理由と歴史があります。もともと10番はFWの左の選手の番号でした。これがフィーメーションの変遷で、攻撃的MFの番号になり、決定的にエース番号となったのは、1958年のW杯スウェーデン大会で、ブラジルが決勝でスウェーデンを5対2で破った時に活躍した、サッカーの神様、ペレがつけていた番号が10番だったからです。ちなみにペレの10番はたまたま当時のブラジル代表監督が適当に割り振ったとされているのも、有名なサッカー界のエピソードです。
●中央で起点を作るポジション
MFが3人の場合、中央の選手をCH(セントラルハーフ)と呼び、同じMFのポジションでもしばしばボランチとも呼ばれるDH(デフェンシブハーフ)よりも攻撃の能力を要求されます。
なお、現代サッカーにおいてはMFのポジションにいる選手は極めて重要な役割を持っています。ボランチとも呼ばれるDHには相手にプレッシャーを与え、相手の攻撃の芽を摘み取るという大きな役割があります。
●自陣近くで守備を担うポジション
次はDFを見てみましょう。左右のサイドのポジションはSB(サイドバック)で、両サイドでの守備が任務ですが、しばしば攻撃にも参加します。
CB(センターバック)は、とにかく相手の攻撃を食い止めるのが仕事です。したがって1対1の時に負けないフィジカルの強さが求められます。
そして、GK(ゴールキーパー)は相手の得点を防ぐ守護神で、ゴール前でヘディングの競り合いになることが多いので、身長が高くリーチが長い選手が有利です。
目まぐるしく入れ替わる試合中のポジション
サッカーの基本的なポジションを後ろから見ると、GK-DF-FM-FWではありますが、サッカーは相手がある対戦スポーツなので、ゲーム展開によってそのポジションは常に流動的になります。
試合中に監督が「上がれ!上がれ!」と大声を出す時には、MFとDFの選手のポジションを全体的に相手のサイドに移動することで、攻撃に主眼を置いている時です。極端な場合、パラグアイのGKが、攻撃に参加してゴールをあげたという例もありますが、さすがにこれは例外だと言えます。
コーナーキックのチャンスで、本来は味方のサイドにいるDFが相手のゴール近くまで攻め上がり、ヘディングシュートを打ったりするのは、しばしば見られることです。
ゲーム展開によってポジションの役割が変化したり明確になったりするため、FWでは「ワントップ」や「トップ下」、MFでは「ボランチ」、DFでは「リベロ」あるいは「スウィーパー」などの派生的な呼び方が一般的に使われます。なお、「スウィーパー」とは掃除屋のことで、DFが相手に抜かれた時にカバーリングをして、相手のボールを蹴り消す役目をします。
どのポジションでも根底となるものは一つ
このようにサッかーのポジションを見ると、試合に勝つためには、個々の選手の実力や力量もさることながら、与えられたポジションの意味合いを完全に理解し、その役目をこなし、なおかつ攻守にわたり、フォーメーションと臨機応変に対応する選手の活躍が不可欠であると言えます。
なお、どのポジションの選手も基本的にはフィジカル面では瞬発的な速い走りと、メンタル面では、先を読みなおかつ目の前の局面の適切な判断力が求められます。