こんなにいた!紳士のスポーツ、サッカーの問題児たち
こんなにいた!紳士のスポーツ、サッカーの問題児たち
問題児という言葉は、主に学校など教育の現場で使われる言葉ですよね。ですが問題児は子供だけではなく、立派な大人の中にもたくさん居ます。
特に何かと世間の注目を浴びる存在であるスポーツや芸能の世界では、問題児は大きな問題で、特に紳士のスポーツとされるサッカー界では許されない行動を起こした選手が問題児と呼ばれてきました。
サッカーは世界的なスポーツであり、単にその国だけにとどまらず問題を起こした選手は世界中から非難を浴びます。ここでは、サッカー選手の中で誰もが認める問題児たちの問題列伝をご紹介しましょう。
もはや殿堂入り!?筋金入りのサッカー問題児たち
●ペペ(ケープレル・ラヴェラン・リマ・フェレイラ)
まずはプレー中の激しいラフプレーで問題児と扱われている、リーガエスパニョーラのレアル・マドリードDFペペを挙げましょう。
事件は2009年4月のヘタフェ戦で起きました。ボールを取ろうと競り合って倒れた相手選手、ハビエル・カスケーロの脚と背中を蹴り、さらには止めに入ったアルビン選手を殴りつけるという暴力行為で、ペペは一発退場処分を受けてしまいました。
この事件によりペペは10試合の出場停止処分を受けました。冷静に戻ったペペは、なぜあんなことをやったのか覚えていないと言ったそうです。
ところが、このペペはその後も様々な問題を起こしているのです。マラガとの試合で相手のルケ選手を挑発し、殴り合いのケンカを引き起こしました。FCバルセロナとの試合では転倒したメッシ選手に対し不自然に歩幅を調整しながら踏みつけを行いました。さらに別の試合でペペはレバンテのシャビ・トーレス選手を転倒させ、さらに頭に蹴りを入れたのです。この行為はレフェリーの目を盗んで行っており、退場処分を受けるには至りませんでしたが、当然カメラには映っており、世界中のサッカーファンから大きな批判を浴びました。
●マリオ・バロテッリ
驚異的な身体能力と天性の攻撃センスで知られるイタリア代表のマリオ・バロテッリの問題児事件はエキセントリックなものが多いです。
インテル・ミラノ在籍時にはトッティに対して「爺さん、お前は終わった選手だ」と試合中に発言するなどの挑発を繰り返し、トッティに蹴飛ばされるという事件が起きました。マンチェスター・シティ在籍時には「退屈だったから」という理由で下部組織の選手にダーツの矢を投げるという危険行為を行い10万ポンドの罰金を科されています。
また、イギリスのレストランではウェイン・ルーニーと交際していた女性に近づき「ルーニー、ルーニー」と歌いながら大笑い、さらに彼女の連れの1人に喧嘩を吹っかけました。他にも自宅で花火によるボヤ騒ぎを起こし、40回以上も駐車違反を検挙されているとか。
一方で「実はいい奴?」と言えるような行動もしばしば見せており、カジノで勝った帰りにホームレスへ1000ポンドを渡したり、平日に練習場を訪れた少年を不思議に思い理由を尋ね、少年がいじめにより学校に行けていないことを知るとすぐさま少年の学校へ向かい、いじめた子供を叱りつけ、校長に話し合いの場を持つよう求め、和解させたというエピソードがあります。
●アントニオ・カッサーノ
インテル・ミラノ在籍時代に日本代表の長友選手と仲が良かったことで知られているアントニオ・カッサーノは問題行動の多さでも有名です。
バーリ在籍時代に無免許運転で逮捕されたのを皮切りに車の事件で何度も検挙され、あまりに交通違反が多いため車を没収されてしまいました。しかたなくチームメイトに車を借りて運転したところ、今度はその車が駐車違反で押収され、車がなくなったので原付バイクを乗り回していたらヘルメット無着用と一方通行逆走で捕まるなど、バロテッリに劣らないほどの交通違反を繰り返しています。
U21イタリア代表ではスタメンから外されたことに激怒し勝手に帰宅、コッパイタリア決勝セカンドレグでは主審に暴言を吐き退場処分となるも、ピッチを去る際に主審をジェスチャーで侮辱し4試合の出場停止と罰金処分を課されました。ユベントス戦ではゴールを決めた後、上半身裸になりコーナーフラッグを破壊するという謎の行動で喜びを表現しました。
ローマに移籍後は、バティストゥータとの折り合いが悪く、バティストゥータの家庭菜園からプチトマトを盗んだり、バティストゥータが大好きなエスプレッソに嫌がらせで大量の砂糖を入れ指で掻き混ぜていたところを見つかり、殴り合いのケンカをするなどの問題を起こしました。さらにレアル・マドリードでは監督やクラブ経営陣との衝突を繰り返しました。
しかし、サンプドリアに移籍後ワルテル・マッツァーリ監督からの厚い信頼を寄せられ副キャプテンになったこと、カロリーナ夫人との結婚や子供の誕生、大病からの復帰などを経て、素行に劇的な改善が見られました。
●ズラタン・イブラヒモビッチ
195cmの恵まれた体格と圧倒的なテクニックで世界最高峰のFWとして名を馳せているズラタン・イブラヒモビッチは数々の問題行動と歯に衣着せぬ発言で知られています。
少年時代には自転車の窃盗を繰り返した悪ガキとして知られていました。練習中に他のチームメイトに蹴りをお見舞いしたり、試合でゴールを決めたチームメイトを殴ることで祝福したりという行動にはじまり、ACミラン在籍時には同僚であるDFのオグチ・オニェウと殺し合い寸前までいく大ゲンカとなり、イブラヒモビッチ自身もこのケンカで肋骨を折られています。
ラフプレーや数々の乱闘騒ぎはもちろん、過去に在籍していたチームの派閥状況をあっさりバラしてしまったり、気に入らないことがあれば監督やクラブ経営陣にも遠慮せず食ってかかるなど、メディアに多くの話題を提供しています。
公道を時速325kmで暴走し、警察の追跡を振り切ったことをはじめ、所有する車で何度も事故を起こしています。問題児は車でも問題を起こすところが共通しているのかもしれませんね。
●ジョーイ・バートン
マンチェスター・シティやニューカッスル、元イングランド代表で活躍したジョーイ・バートンは非常に攻撃的な性格で、暴力事件を数々起こしています。
クリスマスパーティーでチームメイトのジェイミー・タンディとケンカになり、左目に火のついたタバコを押しつけ火傷を負わせるという事件を起こし、タイ遠征中にはエヴァートンサポーターの少年に蹴られたことに腹を立て報復したことで強制送還され、2007年にはリヴァプールでタクシー運転手への暴行を働き逮捕、同年、練習中にチームメイトのウスマーヌ・ダボの顔面を複数回に渡り殴打した事件では、執行猶予4ヶ月、地域奉仕200時間、3000ポンドの罰金を課せられました。さらに同年、リヴァプール市内で、口論となった16歳の少年を約20回殴りつけ、歯を折る怪我を負わせた事件で禁固6カ月の判決を受けました。
試合中にもこの攻撃性は十分に発揮されており、ニューカッスルに所属していた際には相手選手に危険なタックルをして一発退場となっているほか、別の試合で相手選手に膝蹴りや頭突きを食らわして長期間の出場停止処分と大きな罰金を支払う羽目になりました。
また、バス専用車両の走行や信号無視が何度も目撃されたり、無免許運転で罰金を科されるなど、彼も問題児らしく車での問題を多く起こしています。
まだまだいた!?個性豊かなサッカー問題児たち
●ホセ・マヌエル・ピント
リーガエスパニョーラのFCバルセロナのGKとして活躍したホセ・マヌエル・ピント・コロラドは独創的な行動から問題児扱いをされています。
その行動とは、彼がホイッスルのような口笛を吹いたことです。事件は、2010年のUEFAチャンピオンズリーグのFCコペンハーゲン戦で起きました。ピントは試合中に相手選手に対して主審のホイッスルと似た笛を吹いてプレーを中断させたのです。これはスポーツマンシップに反する行為として厳しい処分が下され、ピントは2試合の出場停止処分を受けています。
さらに2011年のUEFAチャンピオンズリーグ準決勝では対戦相手、レアル・マドリードのDFアルバロ・アルベロアと口論になり、ピッチに出ていないにも関わらず退場処分を受けるという事件を起こしています。
●ダビド・デ・ヘア
次は英国プレミアリーグの名門、マンチェスター・ユナイテッドでチームの要であるGKを務めるダビド・デ・ヘアです。彼はスペイン代表のGKにも選出されていることで有名です。
彼が起こした問題はドーナツの万引きです。悪気はなかったのでしょうが、スーパーで約100円のドーナツを手にして、そのまま代金を支払わずに外へ出ようとして警備員に呼び止められました。警察で取り調べを受けることにはなりませんでしたが、この話はマスコミにスクープとして大きく取り上げられ、問題児と評されてしまいました。
ちなみにヘア選手のギャラは週給で7万ポンド(約840万円)とのことで、そんな高給取りがたった100円のために悪評を被ってしまったという、なんとも悔やまれる事件です。
●ウェイン・ルーニー
デ・ヘア選手と同じくマンチェスター・ユナイテッドに所属し、トップ下の世界的な名選手として知られるウェイン・ルーニーですが、若い頃は気性が激しいことで知られ、悪童と呼ばれていました。
トイレ以外の場所で用を足したり、喫煙禁止の場所で喫煙したりといった問題をはじめ、試合中に過度なラフプレーや踏みつけといった暴力行為を何度も起こしています。
2006年のドイツW杯においてルーニーがポルトガル代表DFのリカルド・カルバーリョを踏んだ際にC・ロナウドが審判に猛抗議、ルーニーがC・ロナウドに掴みかかってレッドカードを受けたシーンを覚えている方も多いのではないでしょうか。また、審判の判定に不服を訴えるため試合中にドッジボールを行ったというエピソードもあります。
●ルイス・スアレス
リーガエスパニョーラのFCバルセロナのFWとしてメッシ選手やネイマール選手と超攻撃的なトライアングルを形成、その実力は世界的に高い評価を受けており、ウルグアイ代表でも活躍するルイス・スアレスには噛みつき癖があります。少なくとも3回は試合中に相手選手の腕や肩に噛みついて、退場処分を受けています。さらにスアレスはフランス代表のパトリス・エヴラ選手に対する人種的差別的発言で8試合の出場停止処分を受けています。
●マリオ・マンジュキッチ
リーガエスパニョーラのアトレティコマドリードのFWとして活躍するマリオ・マンジュキッチには奇想天外なエピソードがあります。母国のクロアチアでのユース選手の時代に「寒いから」という理由で5台の自動車に放火した罪で少年院送りを経験しています。ただしサッカー選手としては特に問題児ではないようです。
●マルコ・マテラッツィ
インテル・ミラノやイタリア代表のDFとして活躍したマルコ・マテラッツィはアグレッシブな性格とプレースタイルで有名です。マテラッツィはピッチの外からシエナのDFブルーノ・チリッロに対し野次を浴びせ、試合終了後に控え室へ戻る通路でケンカになり、2ヶ月の出場停止処分を受けました。また、2006年のドイツW杯ではフランス代表のジダンを挑発しジダンから頭突きを食らう「ジダン頭突き事件」を起こしたことで有名になりました。
●ジェンナーロ・ガットゥーゾ
ACミランやイタリア代表として活躍した「闘犬」の異名を持つDF、ジェンナーロ・ガットゥーゾは奇行で知られています。2006年、イタリア代表の優勝セレモニーでなぜかユニフォームを脱ぎ捨て、パンツ1枚のみというあられもない姿でピッチの芝を食べはじめ、その後はリッピ監督の髪の毛をつかんで頭を揺さぶって喜びを表現。セレモニー後は興奮のあまり28回もトイレに行き、周囲を唖然とさせました。
●クレイグ・ベラミー
リバプールやマンチェスター・シティで活躍し、「ウェールズの暴れん坊」と呼ばれるFWのベラミーは、カラオケの席でチームメイトのヨン・アルネ・リーセが歌わないとの事でゴルフクラブで殴り乱闘騒ぎを起こしました。またカーディフ中心部で、男性2人に暴行を働き、傷害容疑で逮捕されたことがあります。
問題児が注目されるのは有名選手の宿命!?
ここまで、サッカー選手が問題児とされるケースをいくつか挙げましたが、このほかにもサッカー選手が人種差別的な発言を試合中にして、一触即発の事態になったケースはいくつもあります。
また、試合以外でのサッカー選手の言動や、twitter、Facebookでの投稿が大問題になるケースもあります。これは一般人では他愛もないことでも、「有名なサッカー選手」という評判を背中に背負ってしまった人の宿命と言えます。
日本人選手の中にも問題児に相当する人がいるようですが、国民性もあってか問題行動そのもののレベルがそれほど高くなく、海外にいる「本物の問題児」達には遠く及ばないといった印象です。これはもちろん、日本人の優れた部分です。
日本であっても海外であっても、サッカーというスポーツでは選手である前に紳士であれ、という言葉が重みを持っていることは間違いないところですね。この記事を読んだ方も今日一日、紳士であることを心がけて過ごしてみるのはいかがでしょうか。